義肢・装具にかかわる法制度②
前回に続き、法制度について説明します。
今回は「障害者総合支援法」について。前回の「医療保険」とごっちゃになってしまわないように気を付けてください。
障害者総合支援法とは
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」
目的
この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)、知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)その他障害者及び障害児の福祉に関する法律と相まって、障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付、地域生活支援事業その他の支援を総合的に行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)
基本理念
障害者及び障害児が日常生活又は社会生活を営むための支援は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、全ての障害者及び障害児が可能な限りその身近な場所において必要な日常生活又は社会生活を営むための支援を受けられることにより社会参加の機会が確保されること及びどこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと並びに障害者及び障害児にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものの除去に資することを旨として、総合的かつ計画的に行わなければならない。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)
つまりは、障がい者でも障害児でも基本的人権が守られ、自立した社会生活を送れるように様々な支援をおこない、安心して暮らすことのできる地域社会を実現しましょう。といった感じでしょうか。
補装具費支給制度
この法律には目的・理念にあわせた給付や事業があります。
- 介護給付
- 訓練等給付
- 相談支援
- 自立支援医療
- 補装具
- 地域生活支援事業
ここで、PO-Linksがかかわってくるのが「補装具」!そして、補装具の給付について「補装具費支給制度」が制定されています。
補装具とは・・・
① 障害者等の身体機能を補完し、又は代替し、かつ、その身体への適合を図るように製作されたものであること。
障害者総合支援法施行規則第六条の二十
② 障害者等の身体に装着することにより、「その日常生活において又は就労若しくは就学のために、同一の製品につき長期間にわたり継続して使用されるもの」であること。
③ 医師等による専門的な知識に基づく意見又は診断に基づき使用されることが必要とされるものであること。
これは医師や義肢装具士はもちろん、補装具にかかわる多職種、使用者やその家族も十分理解してほしいです。
障がい者・難病者が日常的に使用するモノ。長く使うモノ。
治療目的。趣味(スポーツなど)で使用。洗い替え・予備等利便性向上のため。
医療保険での装具を「治療用装具」といいました。補装具費支給制度での装具は「更生用装具」と言いますので覚えておいてください。
さらに、義肢の場合は「訓練用仮義肢」と「本義肢」ですのでお間違えなく。
補装具の種目
[身体障害者・身体障害児共通]
義肢 装具 座位保持装置 視覚障害者安全つえ 義眼 眼鏡 補聴器 人工内耳(人工内耳用音声信号処理装置の修理のみ) 車椅子 電動車椅子 歩行器 歩行補助つえ(T字状・棒状のものを除く) 重度障害者用意思伝達装置
[身体障害児のみ]
座位保持椅子 起立保持具 頭部保持具 排便補助具
補装具費支給の仕組み
補装具を必要とする利用者に補装具費の一部を支給する制度です。
この支給は新しく製作するだけではなく、修理も対象となるのです!
つまり、この制度を上手に利用することで身体に合った補装具を良い状態で使用し続けることが可能になりますね。
補装具の購入等に要した費用の額 (基準額)= 利用者負担 + 公費負担
◆ 利用者負担額は原則1割負担。所得に応じて負担額の上限が次のように設定されています。
生活保護 | 生活保護世帯に属する者 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
一般 | 市町村民税課税世帯 | 37,200円 |
ただし、障害者本人又は世帯員のいずれかが一定所得以上の場合(本人又は世帯員のうち市町村民税所得割の最多納税者の納税額が46万円以上の場合)には補装具費の支給対象外とする。
◆ 残りは補装具費として公費(税金)で負担。(国:50/100、 都道府県:25/100、 市町村:25/100)
例) 基準額10万円の短下肢装具の場合(一般)
基準額 10万円 = 利用者負担 1万円 + 公費負担 9万円
例) 基準額100万円の義足の場合(一般)
✕ 基準額 100万円 = 利用者負担 10万円 + 公費負担 90万円
〇 基準額 100万円 = 利用者負担 37,200円 + 公費負担 962,800円
支給の流れ(代理受領方式の場合)
支給の流れについて「補装具費支給事務ガイドライン」で示されています。
補装具費支給事務ガイドライン
・・・わかりにくいですよね
【 補装具が欲しい ➡ 市町村に申請 ➡ 更生相談所が判定 ➡ 支給決定 ➡ 補装具製作・修理 ➡ 引き渡し ➡ 自己負担金を支払う 】
すごく簡単に説明するとこんな感じです。 ※新潟県の人はPO-Linksの資料を確認してください
利用者負担額だけを支払えばいいので経済的にも負担が少ないし、修理も対応できる。しかし、申請してから許可が下りるまで時間がかかってしまう・・・
このブログを書いていて、言いたいことがでてきました!
次回「補装具の定期的メンテナンスの可能性」について書こうと思います。
たぶん